Volkswagen Service® Library Ver.24
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[第1章]フォルクスワーゲンはこだわります③タイヤを交換したことがないという方が意外に多いようです。最近のタイヤは高性能なので、ひと昔(ふた昔?)前よりも、パンクをすることが少ないから当然かもしれません。冬場にスタッドレスタイヤに入れ替えるときでも、サービス工場やガソリンスタンドに頼んでしまう方が多いのでしょう。それでも、タイヤのトラブルに見舞われる可能性は皆無ではないので、せめてタイヤ交換くらいはできるようにしておきたいものです。運悪くあなたが、何かの理由でフォルクスワーゲンのタイヤ交換をすることになったら、最初は戸惑うかもしれません。日本車の場合は、車の側からボルトが出ていて、そこにホイールの穴を差し込むようになっているものがほとんどです。この場合、固定する時にはナットを使用します。しかし、フォルクスワーゲンをはじめとする輸入車では、車の側にネジ山を切った穴が開いていて、そこに、「スタッドボルト」と呼ばれるボルトを締め込んでいくというタイプが主流を占めています。このスタッドボルトを使用する利点は、ふたつあります。ひとつは、ボルトを締める時の安定性が高いことです。ホイール自体は、ハブの中央部分で支えますので、ホイールが斜めになったり、グラグラ動いてしまったりという、不安定さがありません。もうひとつは、ナットで締め込むタイプに比べて、精度が高いことが挙げられます。これらは、ナットタイプに比べて、ネジ山が切ってある部分の面積が広いために実現できる利点です。つまり、締め込んだ時に、車体とボルトの接触している面積が広いということになります。ですから、万が一の時にも、ホイールが外れてしまう……という可能性が、とても低いのです。同時に、ホイール本体を、ハブ中央で支えていることも重要なポイントです。とくに、高速になればなるほど、中央部分で支えていることが、ホイールへの負担を軽減してくれます。だからこそ、アウトバーンで育まれたヨーロッパ車に、スタッドボルトを使用することが多いのです。と、いいことずくめのスタッドボルトですが、難点もあります。それは、脱着のしにくさです。とくに、ホイールを装着する場合には、車体からボルトが生えているほうが、いったんボルトにホイールを引っかけて作業をすることができるので、そのぶん簡単かもしれません。スタッドボルトの場合は、ホイールをハブ中央に合わせるまでは簡単なのですが、ネジ穴とホイールの穴を合わせるのに苦労することがあります。とくに、慣れていない人や、力の弱い女性などは、ホイール自体を支えながら穴を合わせる……という作業は、辛いかもしれません。最近はサイズの大きなホイールが多いので、重量もありますから。さて、冒頭の話に戻りますが、ぜひ一度、ご自身でタイヤを交換してみてください。もちろん、その際には、あわせてジャッキやレンチなどの車載工具の使い方を確認することもお忘れなく。たとえ、少し面倒でも、皆さんの安全なドライブのために採用されているスタッドボルトです。これも、フォルクスワーゲンの、妥協のない車づくりのひとつとして、ぜひともご理解いただきたい要素なのです。008手軽さよりも、確実な安全性を選びます

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