フォルクスワーゲンが誇る高性能・高効率エンジンの実力を効果的に引き出すのが、トランスミッションのDSG®です。 DSG®は、オートマチック限定免許の方でも運転が可能ですが、これまでのオートマチック・トランスミッションとは構造が異なります。 一般的なオートマチックには、“トルクコンバーター”という装置が使われています。これは、エンジンの動力をオイルの流れによってトランスミッションに伝えるもので、マニュアル・トランスミッションのクラッチに相当します。ふだんはエンジンとトランスミッションが直接結ばれないので、ショックの少ない変速が可能なのですが、そのぶん、伝達効率が低下するため、それを防ぐために一定の条件下で機械的に両車をつなぐ“ロックアップクラッチ”が使われます。 DSG®には、このトルクコンバーターがありません。クラッチペダルがないので、一見いつものオートマチックのようですが、実はマニュアル・トランスミッションがベースです。つまり、機械が人間に代わってクラッチを操作してくれているのです。 DSG®は2組のクラッチを切り替えて使うのが特徴です。1、3、5速ギア(場合によっては7速ギアも)用にひとつ、2、4、6速ギア用にもうひとつ、それぞれ独立したクラッチが用意されています。その動きはこうです。 たとえば、1速から発進した場合。このとき1番目のクラッチがつながっています。一方、2番目のクラッチはつながっていませんが、こちらをつなげばすぐに2速が使えるようスタンバイされています。シフトアップのタイミングが訪れると、1番目のクラッチが切られ、それと同時に2番目のクラッチがつながり瞬時に2速に切り替わります。2速から3速、3速から4速とシフトアップしていくときにも同様の動きをします。そのため、シフトアップやシフトダウンのタイムラグがほとんどなく、素早い変速が可能になるのです。 その連続的な加速感は、これまで味わったことのないものでしょう。しかもマニュアル・トランスミッションの特徴であるダイレクト感は損なわれていませんから、優れたパワーユニットが発揮するパワーやトルクを無駄なく駆動輪に伝えることができるのです。変速に要する時間は、わずか100分の3~4秒という早業です。 DSG®は、トルクコンバーター式のようなロスがないため、一般的なオートマチック・トランスミッションよりも効率がよく、低燃費に大きく貢献しているのです。つまり、DSG®は、マニュアル・トランスミッションの効率の良さとオートマチック・トランスミッションの簡単さを両立させた画期的なシステムといえるのです。021ecoとfunを両立する技術〜その2DSG®
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