Volkswagen Service® Library Ver.24
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日本で回収され、カッセル工場に送られるギアボックス(写真右)と再生されたギアボックス(写真左)写真上がオイルクーラー、下がウォーターポンプ。それぞれ左のように再生されて使われる。 今でこそ、身のまわりのあらゆるものに、リサイクルという言葉が声高に謳われています。将来のエネルギー問題などを考えれば、子供からお年寄りまで、意識を持たなければいけない時代になってきましたから、当然のことといえるでしょう。車自体も、今では数多くのリサイクル可能な部品で構成されているのです。しかし、フォルクスワーゲンがリサイクルを実践しはじめたのは、戦後間もなくのことだったのです。もちろん、自動車メーカーとしては初めてのことで、いかにフォルクスワーゲンという企業に、先見性があったかがおわかりいただけると思います。 第二次世界大戦直後の1947年、フォルクスワーゲンは、自動車部品の再生に乗り出しました。今でこそ環境先進国として世界に知られるドイツですが、その当時は、法的にも行政的にも規制などはありませんでした。 車がまだ一部の上流階級だけの贅沢品であった時代、低価格の乗用車を開発することにフォルクスワーゲンは専心していました。そこで、より安く、より質の高い部品を供給するために、社内でのコスト削減が最重要課題となっていたのです。もちろん当時は、戦後間もないこともあり、あらゆる物資が決定的に不足していました。そして何より重要だったのは、エネルギーの削減です。現在でも行われている、いわゆる“リサイクル”は、回収した部品を溶かすなどして、再び製品をつくり出すものです。しかし、この作業には膨大な動力の燃料や製造エネルギーが必要です。当時は、このために必要なエネルギーも不足しており、リサイクルもままならない状況でした。そこで、リサイクルに比べてエネルギー消費の少ない“リビルド”=“エクスチェンジパーツ”のほうが、はるかに効率がよかったわけです。 もちろん、フォルクスワーゲンは現在でも環境保全を進める立場からエクスチェンジパーツの普及、拡大を図っています。たとえばエンジンを例に挙げてみましょう。全世界から回収されたエンジンは、ドイツのカッセル工場に集められます。そこでは、エンジンの構成部品すべてが分解され、破損している部品などがすべてチェックされます。熟練したクラフトマンと、最新鋭システムにより、クラック(亀裂)の有無や寸法の精度などの検査が徹底的に行われ、欠陥がないと判断された部品は、洗浄に回されるのです。入念な検査が終わると、各部品はシーリング面の機械加工などの再生作業が施され、新品のプラスチックやゴム部品とともに組み立てられます。その時点では、新品部品とまったく変わらない性能と精度が与えられています。 その厳密な工程では、最高品質の部品が再生されると同時に、部品への改良もエクスチェンジパーツには随時反映されているのです。つまりエクスチェンジパーツには、最新技術が集約されているといっても過言ではないでしょう。 現在、日本でもエンジン、オルタネーター、ステアリングギヤ、トランスミッション、インストルメントパネル、ウォーターポンプ、スターター、ワイパーモーター、キャタライザー(触媒)、コントロールユニット、ドライブシャフト、シリンダーヘッドなど約20点が、エクスチェンジパーツとして取り扱われています。修理の際には元のパーツを回収し、それに替えるかたちでエクスチェンジパーツを利用します。回収したパーツはカッセル工場でエクスチェンジパーツとして再生。もちろん再生部品だからといって、新品の部品と性能的に劣る部分は皆無です。 限りある資源は、動力の燃料や製造エネルギーとして使われています。これら資源を、少しでも無駄なく利用することが、地球全体にとって大きな課題であることを、フォルクスワーゲン・オーナーの皆さんにもご理解いただきたいと思います。未来の車社会と、私たちが住むこの地球のためにも……。019

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